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日目
【タオルが無い】
どっかの教会の鐘が8回鳴って起きた。いきなりヨーロッパ風に起床して朝から上機嫌。ホテルをチェックアウトして、次のユースホステルに行ってみることにした。昨日ロストした荷物が空港から届いているかもしれない。パリの朝は人通りが少なかったが、通学する児童はたくさんいた。親も一緒についてくるらしい。小学校の前にある本屋のディスプレイを見ると「ヒカルの碁」とか、日本の漫画がたくさん並べられていた。遊戯王カードも売られている。店の前ではオッサンがハンターハンターの11巻を読んでいた。MANGA大好きデース。って感じだ。
朝食を取るために、カフェに入ってみることにした。カフェ初体験だ。店に入って「エスプレッソとクロワッサンくれ」とウェイターに言うと何とか通じた。店内には犬の散歩の途中と見られるオバサンと、新聞読んでるオッサンが数名。犬はおとなしい。クロワッサンがやたら美味い。後で気付いたのだが、フランスではどこで食ってもパンだけはめちゃくちゃ美味い。さすが小麦の国だ。
適当な駅を探して、地下鉄に乗った。車内は日本に比べると汚い。白人も黒人も黄色人種もいる。大陸と地続きの国では当たり前の風景なんだろう。3番線ガルニエ駅で降りて、迷いながらも目的の「ダルタニアン」というユースに到着。ユースだからボロいことは覚悟していたが、なかなか小奇麗なところだった。チェックインするとカウンターで「三時から部屋に入れるからロッカーに荷物入れておきなよ」と言われる。俺の荷物はまだ届いていなかった。余談だが、ここのユースは日本の「ユースホステル協会」に行って予約を取っておいたのだ。初日はいきなり動き回れないので、こういう段取りをしておくとかなり効率が良い。

ロッカーに手荷物を入れて、ルーヴル美術館へ向かう。パリに来てルーヴルに行かないわけにはいかん。実はたいして興味なかったりするのだが。むしろ「ポンピドゥー現代美術館」とか「ピカソ美術館」の方に興味があった。しかし、パリに来ましたという挨拶をしておかねばと思い、まずルーヴルへ。誰に挨拶するつもりだったのかはわからない。とりあえずモナリザ?
ルーヴルは巨大だった。一目見て、「これはエネルギー相当使うなぁ」と思い、昼食を先に摂ることにした。ルーヴル美術館近辺のレストランやカフェはだいたい外国人慣れしている。メニューの上にフランス、ドイツ、アメリカ、日本あたりの国旗が出ている店もあり、外国人でも気軽に注文できるようだ。適当なレストランに入って席に着く。ラビオリとカフェを注文。カウンターでは昼休みの大人たちがビールとかワインを飲んでいる。フランスでは昼間からお酒を飲んでも文句言われないのだ。素敵だ。
ウェイターが「メシアガレー」と言ってラビオリとパンとコーヒーを運んできた。どうやら俺が日本人だということはバレバレらしい。ラビオリはグラタンみたいな形状で出てきた。メッチャ美味い。そしてメッチャ熱い。フランスパンにトマトソースを塗って食うとこれまた美味い。メシが美味い国はいい国なので、フランスは無条件でいい国認定なのだ。口の中をヤケドだらけにしてラビオリを完食。いざルーブルへ。
美術館の門をくぐるとガラスのピラミッドみたいな建造物がある。どうやらそこい入り口らしい。荷物検査の列にならぶと後ろに日本人のおばちゃん団体が続いた。ゲハゲハ笑って上機嫌なレディーたちは、ヒョウ柄のコートみたいなものを着ていた。
荷物検査を済ませて中に入って、チケットを買った。パリでは美術館入り放題券(カルト・ミュゼという)が1日券(15ユーロ)、3日券(30ユーロ)、5日券(45ユーロ)で売られているが、それは買わずに普通の入場券を買う。ルーヴル美術館にはシュリー・リシュリュー・ドノンという3つの入り口がある。俺は「サモトラのニケ像」に近いドノンから入場した。入場するといきなりいわくありげな石像やら絵画やら美術品が展示されている。最初は全部見ようとしたが、すぐに諦めた。そういうことをしていると30メートル進むのに10分ぐらいかかる。さっさとニケ像を見に行くことにした。
ニケ像は階段を上がったところに「ドカン」という感じで割りとぶっきらぼうにむき出しで展示されていた。教科書なんかでよく見るあの羽の生えた像は、実は船の先端のような台座に乗っている。像よりもむしろ、船の先端に乗っているあたりが、もの凄いカッコイイ。回りこんで後ろから見てみたらニケ像のケツには木の棒が刺さっていて、それで固定されていた。そうか、ケツには木の棒が刺さっているのか。なんかおもしろくなってきた。
美術品が「これでもか」と展示されている大きなフロアを何個も通過して、たまに目に留まったものをジロジロ見ながらモナリザを目指す。それにしても、この美術品の多さはなんなんだ。しかもこれひとつひとつに相当の価値があるのだ。かるく眩暈を起こす。日本人がやたら多くて、彼らが見ている絵画を見ると、どこかで見たことのある絵画ばっかりだった。既視している絵の本物を確認しに来ているのだ。なんか貧しい気がしたが、別に問題ない。
モナリザにやっと到着。さすがに人ごみができている。ルーヴルでは撮影しても誰も文句言わないので、モナリザはバッシバシフラッシュたかれていて少し可哀想だった。当たり前だけど、モナリザはモナリザだった。自分のひいじいちゃんの顔より良く知っているであろうモナリザの顔をまじまじと見たが、「うーん、モナリザなんだなぁ」という感想しか出ない。
その後3時間ほどウロウロして、美術館を出た。さすがに疲れて、カフェで休憩。もう店に入るのは慣れた。タバコが切れたのでタバコを買う。フランス人がよく吸っている煙草はマルボロライトだった。本当に喫煙者の6割がたがマルボロライトを吸っている。あとは紙巻タバコとか。フランスはタバコが高い。一箱5ユーロ、日本円にして600〜700円だ。紙巻タバコ人口が多いのもうなづけるのだ。
カフェを出てコンコルド広場周辺を歩いていると、メリーゴーランドがあった。2、3人子供が乗っている。それをしばらくながめてボーッとした。

ユース近くの駅から出ると雨が降ってきた。ホテルまで走る。カウンターに行くと俺の荷物が届いていた。
濡れたのでシャワーを浴びることにしたが、荷物にタオルが入っていない。入れ忘れたのだ。雨の中、タオルを買いに行くことにした。ちょうどホテルの近くに薬局があったので、そこに駆け込んで「タオルくれよ」と英語で言ってみた。店員は「?」な顔をしている「タオル?なにそれ?」という顔。「タオル」って英語だよなと思いつつ、タオルタオルと連発。通じない。おかしい、英語は地球語なはずだ。もしやここは他の惑星?モナリザの呪い?変な汗をかきまくった。しかたないので絵を描いて説明しようとするも、タオルって四角いだけで何の特徴も無いのだ。散々迷って「顔を拭く人の顔」を描いて、「これ!この顔ふくやつ!」と必死で説明。「Oui, serviette!?」店員はやっと理解したらしい。フランス語でタオルは「serviette」なのか。ところが「ここじゃ売ってないから、あっちの商店に行け」と言われる。散々冷や汗かいてこの体たらく!フランスはもっと英語教育に力を入れて欲しい!
商店でめでたくタオルをゲットしてホテルへ戻る。雨は上がっていた。シャワーを浴びて部屋に入ると、日本人の男性2人とブラジル人がいた。挨拶をしていろいろ話す。ブラジル人に「かえるの歌」を教えたり、ブラジル人の名前を漢字で書いてあげたりした。
夜になって、日本人2人に誘われて飲みに行くことにした。「女の子もくるよー」というので尻尾を振ってついていく。女の子は2人の日本人だった。ノリが良くてすぐに仲良くなった。これだ、これが「トラベルムード」ってやつだ!オペラ前で楽しく飲んだ。帰る途中、女の子が酔っ払った乞食にツバを吐きかけられそうになり、体を張って守る俺。惚れるなよ!もうトラベルムードは止まらないのだ。ホテルに戻っても、ホテルのバーで5人でワインを飲む。2時ぐらいまで飲んでいた。今思うと、あれはプチ合コンなんだなぁ。パリで合コン初体験。そんな夜だった。

パリの朝

ラビオリ

ルーヴル

ニケのケツ

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