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8時起床。こっちに来てからというもの、起床時間が早い。早いってことないか。でも起きても二度寝する気にぜんぜんならない。早くいろいろ見たくて毎日ウキウキしている。 ホテルで超美味いパンを食べて出発。ポンピドゥー現代美術館へ行くことにした。途中で間違えて知らない駅で降りてしまい、着いたのは昼前ごろだった。 今日は日曜日。美術館には早くも長蛇の列ができていた。実は、美術館じゃなくて美術館内の図書館に並んでいた列だったのだが、俺はてっきり勘違い。列が解消されるまで昼飯を食うことにした。 レストランを探していると、カフェとレストラン以外の店が閉まっていることに気付いた。フランスは日曜日に店を閉めるところが多いらしい。ショッピングモールにはひと気がない。 歩いているとチャイニーズを見つけたので、そこで食べることにした。そろそろ麺類が恋しくなってきたころだ。米粉でできた麺「フォー」を注文した。無愛想な東洋人のお姉さんが運んできたフォーには、芋とも肉ともつかない、変な具が入っていた。あれは一体なんだったんだろう…。っていうか、フォーってベトナムの食い物だよな。 ポンピドゥーに戻る途中、変な噴水を見つけた。おもしろい形の噴水が、浅い人口池にたくさん設置されている。鉄でできた蒸気機関車の内部構造みたいな噴水が、断続的に水を虚空に放っていた。犬と子供が水辺で遊んでいた。 さっきの列が図書館の列だということにやっと気付き、美術館の入り口へ。そっちは全然混雑していなかった。今日はやたらマヌケな俺を反省しつつ、美術館に入場。入り口では、ゴムでできた巨大芋虫のようなオブジェがお出迎え。ゴムバンドでぐるぐる巻きにされてSMチックな姿をした芋虫は、空気をずっと入れているらしく、パンパンに膨れてシューシュー言いながら、ブワンブワンと蠢いていた。全然意味がわからないぞ。おもしろいおもしろい。 特設の展示場みたいな場所には、3uぐらいの巨大な絵画が展示されていた。よく見ると、カンバスにクレヨンとか色鉛筆でグッジャグジャに落書きしたような絵が何枚も並んでいる。マジで赤ん坊が描いたような落書きを前に、小難しい顔をしたオッサンやオバサンがなにやら真剣に話し合っている。その人達をずっと観察していた。おもしれーなぁ。あれだ、もしかしたらあの人達も美術作品の一部だったのかもしれない。なんて考えが浮かぶぐらいに意味不明で最高。 悪名高い、マルセルデュジャンの「泉」も生で見た。本当に便器にサインしてあるだけだった。もう、隅々までこんな感じだったのだ。おもしろくないわけがない。かなり長い時間滞在していた。 美術館の中は暑くて大変だった。重いコートを持って、ずっと歩いていると腰に鈍い痛みが走った。限界を悟った俺は美術館を出ることにした。 出る前に美術館内の売店をのぞく。驚いたことにポールスミスの腕時計やカフスなんかが売られている。そして、日本の製品が大量にあった。デジカメなんかを入れるウレタンでできたソフトケースが売られている。売店まで意味不明なのだ。現代美術を語る際にはケイザイなんかも欠かせない言説になるんだろうけど、俺は文学部なのでわからない。 美術館を出てカフェで休憩。その後、行く当てもなくブラブラしていると「MUJI」の看板を発見した。そう、パリにも無印良品が2件あるのだ。しかも日曜だというのに店は開いている。さすが日本の企業。嬉しくなって入店。 店内は満員だった。どこも店は開いていないので、みんな暇なんだろう。 文房具はラベルが日本語のものが多かった。衣料品や雑貨はラベルがフランス語のものが多い。きっと、生活するサイズが異なるからだと思う。日本で売られている製品とほとんど変わらないように見えたが、後で聞いた話によるとフランスで無印良品は高級品らしい。あと、ジョニーデップとヴァネッサパラディがよく来店するらしい。この日は見かけなかった。 無印ではとくに何も買わなかった。日本で買ったほうが安いのだ。またブラブラしているとノートルダム大聖堂の前に出た。ここは超観光地で、いろんな国の人達が団体で訪れる。日本人も多い。とくに女子大生らしい女の子が10人ぐらいでたくさん来ていた。しばらく観察していて気付いたことだが、日本人の女の子は高そうな服を着ているのに、なんだか子供っぽい。逆にフランスの女の子は、高そうに見えない服を着ているが、大人っぽくてとても恰好いい。体型の差以上に、何か要因がありそうなのだが、それがなんだかわからない。っていうか女の子はよくわからない。 広場で一人ベンチに座って、ぼーっとしていると、むこうからこっちに近寄ってくる女の子2人が見えた。シャッターでも押して欲しいのかなと思ったが、よくみたら昨夜いっしょに飲んだ女の子たちだった。オルセー美術館に行くというので、いっしょに行くことにした。暇だし。 セーヌ川沿いに随分歩いた。川沿いには絵を売る露天がたくさん出ている。風景画が主で、鉛筆画や水彩画が並んでいた。自分で描いたのか印刷したのかわからないので、スルー。女の子たちがいちいち露天をのぞくので、ずいぶんゆっくり歩いた。 赤ワインを飲みながら、英語とフランス語でおじさんと少し話す。「パリはどうだい?」「とってもいいところだね。気に入った。」「中国人?」「いや、日本人ですよ」観光客お決まりの会話だけど、楽しかった。あと、フランス語はもっと発音頑張らないとだめだと思った。ワインも注文できないなんて恥ずかしすぎる。 ホテルに戻る途中、パン屋でフランスパンを買ってみた。パリではフランスパンを紙でくるんで鷲掴みしにて持っている人をたくさん見かける。それがとても恰好よく見えるのだ。パンを握って歩いてこそパリジェンヌというもの。フランスパンを握って歩いていると、自分が昔からパリに住んでいるような気にさえなってきた。大げさか。でも、それほど何気なくてカッコイイのだ。住んでる人にとっては当たり前の光景なんだけど。ミーハー観光客なので許して欲しい。あと、ついでに八百屋でりんごを購入。ちょっと足りないけど、これを夕食にした。 ホテルに戻り、本を読んでいると同じ部屋のドイツ人とブラジル人とアルゼンチン人と日本人ふたりに飲みに誘われた。みんな、明日ホテルをチェックアウトするらしい。「お別れ会って言うんだよ」ドイツ人に教えた。今日会った女の子2人もくることになった。あの子たちとは何かと縁があるらしい。 リュパブリック駅近くのアイリッシュパブに入った。とたんにドイツ人とブラジル人のエロ自慢が始まる。ドイツ人は「俺は飛行機の中でやったことがある」と言い出し、ブラジル人は「俺はクラブイベントの真ん中でやったことがある」なんて言い出した。「女子は引くかな」と思っていたら酒が入った日本人の女子も、負けじとエロトークを始めた。こうなったら俺も負けてられない。といってもあんまりネタがないのだ。7割がた嘘で固めた俺のエロ武勇伝は、なかなか好評だった。っていうかごめんなさい。 アルゼンチンの青年が「俺は日本のアニメ大好きでさー」と言い出した。彼は音楽学校に通っていて、たまに教会のミサでオルガンを弾いたりするらしい。「好きな曲弾いていいからさー、こないだなんか、セイント聖矢のテーマソング弾いちゃったよ!」なんつー面白いヤツなんだ!皆さん!遠くアルゼンチンの地では教会のミサでセイント聖矢のテーマが流れています!感動した。その後「OTAKU」について説明を求められた。彼の国では「OTAKU」は侮蔑語ではなく純粋に「アニメが好きな人達」という意味で使われているらしい。何と言ったらいいか困る俺。とりあえず女の子に助けを求めていろいろ説明してみた。女の子は「外に出ないし、友達もいない。ずっとアニメと漫画とゲームに夢中で暗いヤツらを日本ではオタクと呼びます」なんて、痛いほど的確な説明をしていた。アルゼンチンの青年はわかったような、わからないような顔をしていた。「好きな日本の音楽は?」と彼に聞いたら「MEGUMI HAYASHIBARAとANIMETALさ」なんて言うし。日本の文化ってホント素晴らしい。 パブから出るとアルゼンチンの青年が「ざーんーこーくなてんしのよぉーにー」と歌い出した。日本語!そしてエヴァ!なんなんだ。おもしろすぎる。敬意をこめて一緒に歌った。パリの月夜に日本のアニメソングが高らかに鳴り響く。素晴らしい。と感動していたら、女の子のうち一人ががブラジル人と消えていた。ブラジル人はスゲー。俺も来世はブラジルに生まれようと思った。警官は凶暴だけど。 |
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